石井)
では、まず、”普段、何をしているの?”というところから話してもらいたいと思います。
”釜援隊”という分かりやすい名前と、”地域コーディネーター”という分かりにくい名前。釜石の中でも、「釜援隊って何やってるのか分からない」と言われる問題は当初からありますので(笑)
まずは普段の1日の過ごし方であったり、何やっているの?というところを教えてください。
久保)
僕は市役所の商業観光課に協働先として入っておりまして、基本的には朝、市役所に出勤します。市役所の基本的な勤務時間に合わせて仕事をしている感じですね。
何しているの?というところですけれども…。去年大きく関わらせてもらったのは、釜石市の観光振興ビジョンという市の計画づくりに深く関わらせていただきました。
他には、観光をマネジメントするDMOという組織が日本全国でも議論されていますけれども、そういった組織を作るための検討の会議を市役所の中でおこなっていたり、観光の商品づくり、地域の団体が提供しているようなプログラムをパッケージングしたり、コーディネートしてからモニターツアーの対応をしたりですとか。
僕がダイレクトに開発に関わっている、農家民泊のプロジェクトが大きく立ち上がっておりまして、民泊のご家庭を一軒一軒訪問したりもしています。
石井)
忙しいですか?
久保)
そうですね。忙しいと思ったことはないというか、自分で忙しくしているというか。
やりたいことができる働き方でもあるので、やろうと思えば24時間働いても良いなぁとは思っていますけど。だんだんやりたいことが膨らんできているような気はしますね。
二宮)
夜10時頃に「今から事務所に行っても良いですか?」と久保から連絡が来るんですね。”おお、今からか!”と思うんですけど、来るとずーっとPCを打ち続けてるんですね。大変なんだなぁと思いながら見守っています。
石井)
釜援隊はフリーランスなんですよね。個人個人が、釜援隊の運営母体である協議会と個人事業主でフリーランス契約を結んでいる、一人親方なんです。
なので、働く時間というのも、自分と一緒に仕事をしているパートナーと合わせたり、自分で決めた時間の使い方をしていくというのが原則なんですね。自分で仕事を定めていきます。
遠藤)
私は平田地区の生活応援センターというところが協働先なんですけど、平たく言うと、市役所の出張所、地域の中にある市役所の施設です。なので、地域の方々と密にコミュニケーションを取りながら、地域のニーズをすくい上げ、一緒にどうしていきましょうかと考えていきます。
平田という地区には、県営の災害公営住宅が建っておりまして、県営というと釜石市に限らず岩手県内の他の市町村の被災者の方々が住むので、コミュニティがすごく複雑なところなんですね。
そこで立ち上がった自治会と伴走するような形で支援するというのが主な仕事です。
住民同士の顔をつなぐようなイベントも企画しています。具体的には、スポーツ大会や、男性の方々を引き出すための畑作業です。あとは、放課後子ども教室です。
子どもを介することで大人の交流もスムーズにいくのでは、ということを地域の中に入った時に感じまして、災害公営住宅や仮設住宅、一般住宅の子どもといった、いろいろな子どもが集まれる場所を作って、大人同士の交流も深めていくことに取り組んでいます。
石井)
遠藤さんは多世代交流をどのように地域をかき混ぜながらつくっていくか、そして、その取り組みがどのようにしたら持続可能なものになっていくか、ということに取り組んでいる女性です。
石井)
では次に、”釜援隊だからできること/できないこと”ってなんだろうということを二宮さんにうかがいたいと思います。
二宮)
今、2人の話でもありましたけど、自分で自分の仕事を考えることができるという意味では、常に挑戦し続けられるということ。地域の皆さんと話しながらどんなことが必要か、ということに加えて、自分たちのものさしでそれを当てはめてみて、何ができるのかを考えていく。自分で自分の仕事をつくりだすことができるという幸せは、会社員の生活が長かった私にとって一番大きなところかなと思います。
できないこと、という言い方をマイナスととるかプラスととるか、という考え方があると思うんですけど、自分たちが中心に立つわけではない、ということが活動の中に一番大きくあります。
スタートで花坂さんの映像を観ていただきましたが、自分たちが中心に立つのではなく、地域の方がおやりになりたいということにどう寄り添っていくか考えていく。
できなくてもどかしいという思いもありますけど、それを地域の皆さんとしっかりと話をしていきながら物事を進めていくことができるということに意味があります。
正直言えば、自分がやった方が早いなぁということもあるにはあるんですが、それは我々の本義ではないというところでしょうか。”できること”は、可能性を広げられること。”できない”ことに取り組むことこそ、我々の仕事なんだと思うことはあったりします。
石井)
ありがとうございます。二宮さんは本当にプロフェッショナルなんですよね。
浪速金融道というのがピタッとくるようなバックグラウンドがあって、色々な仕事をしてきた方が、本当に泥臭い仕事も含めて地域デザインの仕事をしているんですよね。
地域をデザインする仕事って、すごく人間臭い仕事だと思うんです。ある種、見えないものを見ようとしたり、カタチには見えない人のつながりを作り続けたり、つなぎ続けたりする仕事にまさに取り組んでいる。
だからこそ言える、自分で自分の仕事を定義している、という言葉なんだとすごく実感していてます。
二宮)
ありがとうございます。