【活動説明会レポート⑤】Panel Discussion:釜援隊のこれまでと、これから(その3)

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石井)
では、次にいきたいと思います。”どんな困難がありますか?そしてその困難は、前職と比べて何が違うのか”、というところをお話していただきたいと思います。

二宮)
自分で決められないことがいっぱいあるというのは困難なんじゃないかなぁと思います。
あとは、前職は金融なので分かりやすいんですよね。数字をどう上げてくるか、という話なんですよ。この1か月で1億取ってこいとか、5億貸付してこいとか。

一方で、地域の仕事というのは定量的な仕事ではないんですね。
どういう状態を作っていくか、という意味では、成果を示しづらいということと、”できたね”、という実感を持っていただくことも難しい。それが、僕は一番大きな違いかなと思います。

復興感や、自分たちがこの地域をつくったんだという実感を持っていただく状態というのは、例えば、自治会を5個つくったからいいよね、という話ではないんですよね。自治会ができようとできまいと、自分たちが自分たちの地域のことを自分たちで決めていくんだという決意を持った日が一つの成果なので、それを実感していただくためのことをやっていくというのが一番難しい。

ただ一つ共通点は、お金だけでなく、必ず、人や人の生き方と結びついているという意味、人対人ということです。

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江口)
僕の話の中で、”OPEN”という話をしました。ビジネスとエコノミーの違いで、ビジネスはおっしゃったように数字を求めるというか、売り上げをいくらにしましょうかという話ですけどそれは結果論であり、その結果に基づくプロセスは何でもいい。ゆえに逆にすごく非道なことというか、変なことまでも許容してしまうからこその問題点はある。
一方で、(二宮さんが)おっしゃっていたように、人の関係、信用、信頼など、結果だけではなくプロセスにも価値がある。
例えば、駄目だったとしても、それを共有できて”次頑張ろうぜ”となれば、その結果は正解ということになる。何をもって失敗か成功かというのは実は判断出来ない。
プロセスに意味があれば、中長期的に見たときに、失敗は成功の母じゃないですけど、意味があったということであればそれは成功であるという話にもなる。

数字だけに求めるのではない、関係性という見えない価値、見えない資本を積み重ねていくということなのかなぁとすごく感じるところであります。

石井)
ありがとうございます。

では次は、生活や暮らし、ライフスタイルの価値観をお話いただきたいと思います。
ブラジル、東京、神奈川、と比較的都市部から赴任してきた人が多いんですが、こっちに来た側の人間が感じることとハタから見た意識というのは異なるのではないかと思うんですよね。
例えば、「田舎つまんないんじゃないの?」みたいなこと、言われません?遠藤さん、どうですか?

遠藤)
もちろん、正直都会にあって釜石にないものもたくさんあるんですけど、逆に釜石にあって都会にないものもたくさんあることに、住み始めてから感じています。
例えば、釜石に来て初めて定置網の船に乗せてもらったんですけど、そこから見た、大海原から上がってくる朝日は、ブラジルの世界遺産とかから見たどの朝日よりも綺麗でした。釜石に来て良かったなと思えた一コマでした。

 

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石井)
働き方や身の置く場所というのは、これからさらにフレキシブルになっていくと思うんです。
技術の変化の中でVR、AR、IOTとか色んな言葉が飛び交っています。最近思うのは、平日は丸の内で働いて土日はゴーグルの中で(=VRを使って)釜石の取り組みをしたり、ゴーグルの中で仕事が完結できるようになる時代が来るかもしれない。この変化はそんなに先じゃないんですね。
初めて人間の歴史の中で、仕事をする場所と暮らす場所を分けることができるんです。そうすれば、本当にいたい場所にいれるんですよね。
私自身、4年半前に釜石に来たIターン者で釜石と東京の往復だけで地球3周分してるんですね。そういう暮らしをしている私が率直に思うことでした。

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