担当隊員:山口政義
エリア:唐丹地区
目指すビジョン: 釜石のDNAを再認識する
桜の舞い散る中ゆったりと進む大名行列が有名な「釜石さくら祭り」。「式年大祭御神輿渡御式」という正式名から伺える通り、天照御祖神社の御霊代をおみこしに乗せ、唐丹町内を練り歩く、3年に1度のお祭です。神様を楽しませるための神楽や虎舞、手踊り、太鼓なども行列に加わり、賑やかな音色が町中に響き渡ります(写真1)。
震災以降途絶えていたこのお祭が、2015年4月、6年ぶりに復活しました。釜援隊第一期の山口隊員(2016年卒業)も、陰ながらさくら祭りの復活に関わり続けてきた一人です。
その活動は、着任したばかりの2013年にさかのぼります。まず行ったのが、昔のさくら祭りの写真や動画の収集と各地区での上映会です。上映を見て、「もう一度さくら祭りをやりたい」という思いが強まった方も多くいらっしゃったようです。
唐丹町内の全7地区が協力し、2014年に初開催となった郷土芸能祭も、さくら祭り復活に弾みをつけました。
もちろん、中学校で郷土芸能に取り組む際の協力や、郷土芸能の披露の場づくりといった日頃からの活動にも、地域の方に混ざって参加しています(写真2)。
そして迎えた2015年。ついに、さくら祭り復活の運びとなりました。助成金申請やパンフレットの作成・印刷、各地区への送迎バスの手配、祭りの告知チラシの配布に町内清掃の手伝いと、山口隊員の業務は多岐に渡ります。
そんな山口隊員の要請に応え、当日は他の釜援隊メンバーも、さくら祭りを盛り上げるべく唐丹に結集しました。送迎バスの案内係や記録係、はたまた人手の足りない地区のために大名行列に加わる隊員も……山口隊員の姿も鉄砲隊の中に発見することができました(写真3)。
バスの中で地域の方が楽しそうにお祭の話をされているのを聞いたり、お手伝いの合間に地域の方にお昼をごちそうになったり。釜援隊メンバーにとっても、唐丹という地域のあたたかさと伝統を感じる一日となりました。
▽もっと詳しく!
【復興釜石新聞連載】#28 協働増やし復興進める 地域の誇り・魅力を可視化
【復興釜石新聞連載】#29 引き継いだ、唐丹の誇り 「さくら祭り」に重ねる地域の未来
唐丹地区生活応援センター配属
山口政義
久保正春さん(唐丹町荒川地区)
山口さんと初めて会ったのは2年くらい前かな?荒川の小正月行事「悪魔払い」でたまたま脇に座ってて、「見慣れねぇ顔だな」と思って声をかけたのがきっかけ。「飲むの好きか?」って聞いたら「好きだ」って言うもんだから、うちのマタギ小屋に呼んでね(笑)
山口さんは素直だし何に対しても前向き。それでいてでしゃばるということもない。「これは俺がやったんだ」とは絶対言わないね。唐丹のことを一生懸命やってくれるから、本当にありがたいと思ってます。
今回のさくら祭りでも、人が足りないから行列に参加できないかもしれないっていう地区があったんだけど、唐丹町内会連合会の会長の川原さんがそこに山口さんを紹介してくれて、人を集めることができた。
釜援隊は仮設で一人暮らしの人も多いでしょ?だから「俺ができるのは食のサポートだ!」と思ってます。山口さんからつながって、なおちゃん(常陸)やらメガネ(中村)やら他の釜援隊の人とのつきあいも出てきた。そんな風にうちで飲むとき、山口さんは必ず俺の好きな芋焼酎を持って来てくれる。義理堅い人ですよ(笑)
お祭や郷土芸能は、地域づくりの中で非常に重要な要素だと考えています。そこには地域に存在する伝統や文化が凝縮されていて、地域の方が力をあわせて未来へつないでいる。全国的に見ても、元気な地域にはしっかりしたお祭や郷土芸能が存在します。
唐丹町の「さくら祭り」も、非常に独特な形式をもったお祭です。このお祭を維持していくことが、地域のアイデンティティーをより強いものにしていくんじゃないかと思っています。
当日参加させてもらった地区からは、本当に多くの感謝の言葉をいただきました。唐丹に来た当初から、唐丹で活動するにあたってこのお祭りに関わらない限りはただのよそ者に過ぎないと思っていたので、地元の一員として参加できたのは大きいですね。